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Vol.2

プラットフォーム依存と研究者の情報発信

X(旧Twitter)の変容から考える、知の蓄積とオウンドメディア

目次

2023年のX(旧Twitter)におけるAPI制限の強化、そして2024年のさらなる仕様変更は、多くの研究者にとって「プラットフォーム依存」のリスクを痛感させる出来事だった。

学術的な知見を一般に向けて発信する「サイエンスコミュニケーション」の文脈では、SNSは極めて有効なツールとして活用されてきた。しかし、その基盤が一企業の意思決定に完全に左右されるという事実は、あらためて問い直す必要がある。

失われるアーカイブ性

SNS上での発信は、タイムラインの流れの中で消費され、蓄積されにくい。研究者が時間をかけて書いたスレッドも、数日後には参照困難になる。これは、知識の蓄積と共有という学術の基本的な営みと、根本的に相容れない。

ブログやnoteのような長文プラットフォームはこの問題をある程度解決するが、それでもプラットフォームの仕様変更や閉鎖のリスクは残る。

オウンドメディアという選択

筆者がこのColevi Magazinesを立ち上げた理由の一つも、まさにこの問題意識にある。自分のドメインに、自分のコントロール下で、長文の考察を蓄積する。それは古くて新しい、しかし確実な方法である。

WordPressのようなオープンソースCMSを使えば、プラットフォームロックインのリスクを最小化できる。データは自分のサーバーにあり、いつでもエクスポート可能だ。

発信のコストと持続可能性

もちろん、オウンドメディアの運営にはSNSとは異なるコストがかかる。サーバー管理、デザイン、SEOなどの技術的知識が必要になる。しかし、長期的な知の蓄積という観点では、その投資は十分に合理的だと考えている。

「プラットフォームは借り物、ドメインは持ち家」——この原則を、改めて研究者コミュニティで共有したい。

プラットフォームは借り物、ドメインは持ち家——この原則を、改めて研究者コミュニティで共有したい。

山口和紀
山口和紀
立命館大学大学院博士後期課程

立命館大学大学院先端総合学術研究科博士後期課程に在籍。社会学・情報学の交差領域を研究。