■文献

「筆者が感情心理学の勉強をはじめた1975年頃,感情心理学に関する洋書のタイトルには,どれにもemotionが含まれていた。その後,デカルトの『情念論』を読み,現代の英語でemotionと言われる心理学上の概念をデカルトはpassionと記していることを知り,また哲学を専門にしている友人から,感情はラテン語ではaffectusというのだと教わった。」

「心理学では情動という。”と記されている。文部省の『学術用語集(心理学篇)(日本心理学会編)』(1986)によれば,emotionの訳語は“情動”である。つまり,日本語では情動と訳する限りemotionは学術用語である。」

◇宇津木成介. (2015). 感情の概念を巡って—用語の歴史的検討の試み—. 感情心理学研究22(2), 75-82.

「感情の分類
〇感情(affect):下の 2 つを含む包括的意味で用いる
情動(emotion):比較的,対象が明確で強度の強い一時的な感情.喜び・悲しみ・
恐れ・憎しみ・怒りといった,言葉で表される感情状態
ムード(mood):比較的,対象が不明確(意識化されづらい)で強度の弱い長期的(再
起的)な感情.個人の内的状態全体を反映するような感情状態」

Ⅲ.感情心理学

「【感情と情動の定義】 情動はラテン語でemotusと表記されるが,これはexとmovēreを合成した語で,英語に翻訳するとto move away(追い出す),もしくはdisturb(不安にする)と翻訳される。ここから原義が外に追い出すという英語のemotionが派生する。これにはいくつかの意味があるが,第一義は意識の感情面であり,これがfeeling(情緒)である。ジェームズJames,W.(1891)はemotionを,「身体的変化は刺激を與ふる事実の直後に来る。そしてその身体的変化が起つて居る時,之に対する感じが即ち情緒である」(今田恵訳)と定義したが,これはラテン語のemovēreに近い。

 一方,感情はafficereと表記されるが,これは同じくad(向かって)とfacere(生じさせる)の合成語で,「影響を与える」あるいは「働きかける」が原義である。e-motus(外に追い出す)がemotionであることに比べて,ad-facereには認知が含まれていることがわかる。また,感じや気持ち,気分といった心の状態を表わす概念はすべてラテン語のaffectusに含まれており,非常に多様な意味をもつ。したがってaffectがより包括的概念になるので,本項目では感情にこの語を当てる。」

感情とは - コトバンク

「これらの研究の共通点は身体に着目していることであり, ダマシオが提唱している 「情動は身体反応
であり, その認知が感情である」[Damasio 03] といった考えに基づいている. 感情を議論するうえで」

◇日永田智絵, 堀井隆斗, & 長井隆行. (2019). OS-18 感情と AI. 人工知能34(6), 881-887.

「Damasioは,脳に伝えられる身体状態の情報が意識的に感受されるとき,そ
の情報をとくに「感情(feeling)」とよぶ.このようにしてダマシオは「情動」
と「感情」を区別している(Damasio 1994, pp.143-148).」

ソマティック・マーカー仮説について - J-Stage

投稿日:2022/06/06

修正日:2022/06/06