■筑波技術短期大学問題
◇1987-03-25 第108回国会 衆議院 文教委員会 第1号
〇佐藤(徳)委員 それでは、次の質問に入ります。
筑波技術短期大学の創設の問題であります。法律案に示されている本問題について、ここに至るまでの間、賛成、反対の立場から各関係団体から意見や要望、陳情を私も受けております。文部省にも来ているんだと思いますが、あるいは大臣に直接にも行っていると思いますけれども、文部省当局がこれを受けとめられまして、どういう内容なのか、その概要について、もしおありでしたら御説明をいただきたいと思います。
〇阿部政府委員 筑波技術短期大学につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、五十一、二年ごろから関係者の御要望によって検討に着手したものでございますが、二つの賛成と申しますか推進の団体としましては、一つは聴覚障害者のための高等教育機関の設立を推進する会、これは全日本聾唖連盟という聴覚障害者の団体、それから聾学校長会、PTAの関係あるいは聴覚障害者を持つ親御さんたちの会というようなものが集まってつくっておるものでございます。もう一つは視覚障害者のための高等教育機関の設立を推進する会、これは日連本盲人会合等を初めとしまして、趣旨としては聾の場合と同じようなグループの会合でございますが、そういった二つの団体から早期設立の要望が出されておりまして、そのねらいとするところと申しますか趣旨は、身体障害者の高等教育の機会の拡充を図りたいということ、それから障害者の職域の拡大と社会的自立の促進を図りたい、障害者の教育方法の改善を図りたい、こういった三点を掲げて、ぜひこういうものをつくってほしいという要請があるわけでございます。なお、このことに関しましては、国会議員の先生方の中にも超党派で推進議員連盟もできているということを承知をいたしております。
また、これに対しまして反対の意見を述べられる方々、筑波身体障害者短大構想に反対する連絡会という方々のようでございますけれども、そのほか筑波大学の附属盲学校の教員等の一部の方等からこの創設に反対という御意見も出てきております。反対の御意見は、いわば障害者の隔離につながる、一般大学での受け入れがこれによってうまくいかなくなるのではないかというような御意見から、盲学校の高等部の専攻科を昇格するという格好でやるべきであるというような御意見まで含めまして、反対という御意見があるわけでございます。
文部省といたしましては、こういった御意見を得つつも、特に大多数の方々のぜひ実現してほしいという御要望を受けているということもございますので、その趣旨を踏まえてこれまで検討に努めてきたということでございます。
〇佐藤(徳)委員 私も、賛成と反対の立場の方々から幾つかのお話を伺ったり、要望書、陳情書をいただきました。特に、反対される皆さんのお話なり内容というのは正直言ってやはりもっともだなというのもあります。そういう人たちの気持ちもやはりくみ上げていかなくちゃいけないというように私は思っているわけであります。
そこでお尋ねいたしますのは、筑波技術短期大学創設の計画についてのプロジェクトチームが文部省に設置されたときがあったはずであります。ちょうどそのときに日本私立大学連盟が大学問題研究会を開きまして、その一つの結論を出された発言があるようでありますが、御承知でしょうか。もし知っていらっしゃれば内容をお示しください。
〇阿部政府委員 私どももその場に居合わせたわけではございませんので詳しいことは承知をいたしておりませんけれども、私立大学連盟の会議の際に、あるメンバーの方から、身体障害者の大学への受け入れに当たっては、国民の負担で設置されている国立大学が優先的に対応すべきだという趣旨の発言があったということは聞いておるわけでございます。
〇佐藤(徳)委員 文部省は私大へ障害者を入れろというよりも国立の障害者大学をつくるべきである、こういう見解を出したことを聞いているわけであります。これは、受け取り方によっては一般大学の入学よりもそちらの方に行きなさいという意味にもとれるし、障害者の立場からいえば、一般大学の入学を間接的に拒否したのかという理解をしている人もいるようであります。私はやはりこういう取り扱いについては慎重にすべきであるし、文部省に直接申し上げてもしょうがありませんが、いずれかの機会がありましたら、注意を喚起する意味で行政指導をぜひひとつお願い申し上げたい、こう思います。
さてそこで、障害者の一般大学入学状況はどのようになっておりますか、過去十年間における実績を示してください。
〇阿部政府委員 身体に障害のある者の大学、短大への入学状況でございますが、国公私とございますけれども、計で申し上げます。昭和五十二年度以降ずっと申し上げさせていただきます。
五十二年度が五百二十九人、五十三年度五百八十八人、五十四年度六百三十七人、五十五年度五百四十人、五十六年度五百五十四人、五十七年度五百四十七人、五十八年度五百七十五人、五十九年度五百十七人、六十年度四百二十三人、六十一年度四百二十二人、こういうような傾向でございます。
〇佐藤(徳)委員 筑波身障短大構想に反対する連絡会というのがございます。この方々の資料によりますと、国立滋賀大学は、八〇年度の入試に際して、経済短期大学に受験希望を出した視覚障害者に対し、障害者は筑波に行けばよいという理由で受験を拒否したと訴えています。さらに、視覚障害者の点字受験についても、一たんは点字受験を認めていた大学が、筑波短期大学の計画の進む中でそれを取りやめる例が出てきたということも報告をされています。学校名は申し上げません。さらに、視覚障害者学生問題を考える会という団体があるそうでありますが、この調査によりますと、点字受験拒否をした大学は、五十八年度に八大学、五十九年度で二大学、六十年度で十二大学だそうであります。
このような実態についてどう思いますか、御見解を承ります。
〇阿部政府委員 ただいま御指摘の件については私ども承知をいたしておりません。滋賀大学という国立大学の例をお挙げいただきましたので、その実態については早速調査をいたして状況を確かめてみたいと思っております。
なお、文部省といたしましては、かねてから、身体に障害のある方々の大学入学については、その能力、適性に応じて、健常者の場合と同様にその道を開くべきであるということを強く関係国公私立の大学に対して指導してまいりました。大学入学者選抜実施要項の中でそれをうたうと同時に、さらに、障害を持っておられる方々に対する入学者選抜の実施の方法についてまでも触れて、具体に点字を出題することとかあるいは解答の方法、試験場の整備等についての特別な配慮を行うというような指摘もいたしております。現実に、国公立の共通一次試験等につきましては、毎年数百人の身体障害者の方々の受験を受け付けておるわけでございます。また、入学いたしました後のことにつきましても、国立大学につきましては国でございますから当然文部省として予算上の措置を行いますし、公立、私立の大学に対しましてもできるだけの財政的な援助措置を講ずるというようなことで、この一般大学への受け入れの促進に努めてまいっておるわけでございます。
他の具体の例がございましたらば、後ほどお聞かせいただければ、問題となったケースについては十分調べて、今後そういうことのないような指導をいたしたいと思います。
〇佐藤(徳)委員 本来、障害者も健常者も差別や選別されることなく、ともに学んで、ともに遊んで、ともに働くことのできる社会が実現されることが望ましいのでありまして、教育もまたそういう方向で御指導をお願いしたい、こう思っているわけでありますが、私立の大学及び短大の鍼灸学部、学科は一般者を対象としておりまして、もちろん身体障害者は限定はしておりませんけれども、このことによって障害者の就職機会の減少あるいは社会的自立、これに悪影響を及ぼしているのじゃないか、こういう懸念がありますが、どう御理解されておりますか。
〇阿部政府委員 現在、鍼灸師の免許についての認定施設というのが文部省所管、厚生省所管合わせまして全部で九十一ございまして、入学定員が二千八百人というのが全体の数でございますが、こういった中で視力障害者だけを対象にしている施設の入学定員は千二百人、残りの千六百人というのは視覚障害者と一般人とあわせて受け入れている、こういう施設でございます。
御指摘の私立の大学、短期大学にそれぞれ一校ずつ鍼灸系統の学部、学科があるわけでございますが、これは両方足しましても入学定員二百二十人、全体の八%足らずということでございますし、また、これが設置されます際に、一般者だけを対象とするようなものとならないようにということで、文部省としても随分これについては注文をつけました。大学、短期大学の設置認可に際して、障害者に配慮した施設を設けること、それから設備として点字器、図書等を整備すること、入試についても障害者に対しての十分な配慮をすることというような指摘をいたして開校させておるわけでございまして、たまたま視覚障害者で入学している者がほんの若干名しかないという実態がございますが、いずれにいたしましてもこの二校、数といたしましては全体の八%程度ということでございますので、そういう悪い影響というのが特に大きく存在するというふうには考えておりません。
〇佐藤(徳)委員 次に、学校教育法第四十八条を説明してください。
〇阿部政府委員 学校教育法の第四十八条は、高等学校に専攻科及び別科を置くことができるという規定で、専攻科についての根拠規定と相なっております。高等学校の専攻科は、高等学校を卒業した者等に対して「精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを」ということを規定いたしまして、「修業年限は、一年以上」ということになっております。この規定は盲・聾・養護学校の高等部について同法の第七十六条によって準用されておるわけでございます。
〇佐藤(徳)委員 四十八条には確かに「一年以上」、今御説明あったとおりであります。実際は盲学校の高等部の専攻科の修業年限は何年になっていますか。
〇西崎政府委員 先生御指摘の盲・聾・養護学校の高等部にかかる専攻科の年限でございますが、学校教育法上は「一年以上」とございますが、あんま師、鍼灸の資格の関係で申しますと三年間の教育課程が必要であるということで、おおむね置かれております専攻科は三年の専攻科ということになっております。
〇佐藤(徳)委員 関連いたしまして、はり、きゅう、マッサージの受験資格と取得の条件は何でしょうか。それから、専攻科を卒業した者の学歴はどうなっておりますか。
〇西崎政府委員 ただいま先生御指摘の点は、厚生省の方のはり師、きゅう師に係る法令の規定によるわけでございまして、厚生大臣の指定の施設、それから文部大臣の指定の施設というふうに分かれるわけでございます。あんまマッサージ指圧師、はり師及びきゅう師につきましては、高等学校の卒業生につきましては三年以上、それからはり師、きゅう師につきましては高卒の場合は二年六カ月、あんまマッサージ指圧師、はり師につきましても二年六カ月、はり師だけでございますと二年、きゅう師だけの場合は二年、あんまマッサージ指圧師につきまして、高卒の場合は二年というふうな教育課程で授業時間数等が定められておるわけでございます。
〇佐藤(徳)委員 問題は、反対する人たちの御意見を承っておりますと、専攻科と短期大学の関係の問題について大分疑問を持ったり、それがゆえに反対だという主張だそうであります。私も直接承りました。
そこで、短期大学を創設されて、卒業する場合に、鍼灸の資格はどうなりますか。
〇阿部政府委員 鍼灸師の資格の取得に関しましては、専攻科の場合と同等でございます。
〇佐藤(徳)委員 学歴が短大卒ですね、今度の創設されるものは。ところが、高等部専攻科三年やっての学歴は、同じ三年をやってもこれは高校卒。学歴、一段階違うわけであります。どうしてこういうことが発想の中に出てくるんだろうか。私も幾分疑問を持っている点もあります。しかし、筑波大学に一つだけ短期大学をつくって事足りるということになったら私は大変な状況になるだろうというふうに思いますし、むしろエリート化しちゃって、また変なふうにゆがんでしまうということの心配をするものであります。したがいまして、将来各地にもなるかどうかわかりませんけれども、単に筑波だけではなくて、こういう状況というものを波及効果をもたらすという考えがありますかありませんか。
〇阿部政府委員 身体障害者に対する高等教育の機会というものを充実し、整備をしていくというのは、これからもずっと引き続いて考えていかなければならない課題であると思っております。その際にどういう方向でいくか。今回短期大学の設置を新しくやるわけでございますけれども、こういう種類のものの増設という格好で対応していくか別途の方法を考えるかというようなことにつきましては、まずはこの短期大学の充実とその円滑な運営に努め、その状況等を見ながら、また世論の状況その他、諸般の状況を見ながら考えていくべき課題である、こう考えておる次第でございます。現在は、まず最初の短期大学をつくってみようというところにこぎつけたわけでございますので、その状況と並行しながら今後の課題として検討させていただぎたい、かように思っておる次第でございます。
■文献
「佐藤 徳雄(さとう とくお、1928年6月8日 - 2005年7月31日)は、日本の政治家。元日本社会党衆議院議員(3期)。」
投稿日:2022/07/24
修正日:2022/07/24