20251009日誌:えっと

 私がもし南に行くとして、行くとしたら福岡か大阪かどちらかだと思う。移動することはいいことだと思う。少なくともそう思える。カラスが鳴いている。姉はカラスが嫌いだった。おそらく鳥が嫌いだった。嫌いなものは嫌いなのであって好きにはなれないんだと思う。夜肌寒くなってきたから、私はクーラーを付けなくなった。

 彼に出会ったのはいつだっただろうか。かれこれ三年くらいの仲になる。いつも喫茶店に行って意味のない話をしている。意味のある話だと思ってしている。だが、結局は意味がないのだから人間って不思議だ。

 彼は南に行った。南に行くことは、彼にとって必然だった。必然だということは、なされなくてはならないことだった。人生にはそういう事があって、そうならねばならないことがある。その理由を聞いたとしても、理由があるものではないと思う。

 とにかく彼は、南に行くのだと言って、ほれは彼の言葉ではとりあえず行ってくるという言葉で、行くことになった。それは大事だけれども、気分の軽いことだった。重苦しい天気とも言えないような、しかし晴れ渡ってもいないような天気だった。コップの水を飲む。

 この店は、どうしてかマスターがたくさん水を入れに来る。水をいつ入れるかというのは不思議だな。早く入れてもダメだし、遅くてもダメだ。その加減が大事なんです、と笑った。

 それで長い道のりを彼は車に乗っていた。赤い車だった。街灯を通り過ぎるたびに、白く光った。音楽を聴いた。よく分からない音楽だった。アプリで勝手に流されるような音楽だった。いくつかよい曲があった。私はその曲の名前が分からなかった。車は、それを見ていた。すべてを見ていた。それは長く長くあった。

 

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山口和紀