本ページは2023/11/04に行われた日本メディア学会秋大会における山口和紀の発表資料となります。

レジュメをそのまま掲載しただけですので、あしからず。

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日本メディア学会
ニュース砂漠と地域ジャーナリズムⅡ―非営利NPO法人「NEWSつくば」を事例として―(ジャーナリズム研究・教育部会)
2023/11/4
於:ZOOM

ハイパーローカルメディアにおけるウェブ開発・運用の実際とプラットフォーム――しかし、誰がそのコストを支払うのか

自己紹介

山口和紀

  • 立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程3年
  • 専門は社会学/障害学で、研究テーマは「障害者の社会運動の歴史」。
  • 筑波技術短期大学構想(日本のひとつしかない障害者だけの高等教育機関はいかにして設置されたのか?⇒つくばの話(教育大移転反対闘争→高エネ研設置→身障者短大設置構想→筑波技術大学構想=つくばの形成史にもすこし詳しい
  • 社会運動に関するウェブアーカイブズの構築(NEWSつくばとも少し関係?)
    • 今後、ウェブメディア(零細メディアはすぐに「倒れ」やすい)が廃刊したら、そのデータはどこに残る?国内唯一の法的ウェブアーカイブである国立国会図書館は「民」をアーカイブしない。
  • NEWSつくばでは、記者兼エンジニア。
  • NEWSつくばは「有償ボランティア」と「サイドワーク」の中間くらい?の位置付け

お話する内容

  • NEWSつくばのウェブサイト(ウェブサイト外)の開発・運用の実際
  • プラットフォームと収益性の問題

⇒「誰がコストを払っているのか?」

開発・運用環境

NEWSつくばの場合(概要)

環境的な面

  • サーバ:レンタルサーバ
  • コンテンツ管理システム:WordPress

人的資源

  • エンジニア(山口)等が意見を聞きながら、保守・開発・運用を一貫して実施

うまく行っているところと限界

〇うまく行っている点

  • デザインは、WordPressのテーマを使っている→開発コストを大幅にダウン
  • 欲しい機能がある場合には、WordPressのプラグインを基本的に利用
  • ただし、部分的には山口がプログラムを書いて開発している部分もある(純広告バナーの配信プログラムや、記事配信のフィード、SNSへの自動投稿など)

△ハイパーローカルメディアの限界

  • 高コストな機能の開発はできない。

開発の人的資源

 基本的な開発は山口やもう一人のスタッフが行っている(きた)。

→基本的には省エネだが、保守から新規の機能の開発まで基本的には「内製」しており、コストはかなり低く抑えられている。
ハイパーローカルメディアが、サイトの開発・運用を行う場合にそうした資源を得られるかはかなり怪しい?基本的にエンジニアは高コスト。

〇参考:作業の内訳
記事の執筆→記者
記事の編集作業→編集部
記事の掲載作業→編集部
サイトの開発・運用→山口?
サイト外の雑用→山口?

記事の出稿

 コンテンツ管理システム(WordPress)への記事の入力・設定等は、編集デスクのほうで一括して行っている。

実感

〇お金をかければ良くできそうなところはある⇒それが収益性を高める
〇世界のメディア界隈がWordPressコミュニティーに投資をしてくれている⇒それを利用できている部分はある。 Ex. コメント周りがそれなりに充実している(荒しを弾く!etc…)

プラットフォームと収益

プラットフォーム

ニュースの配信に関わるプラットフォームはいくつかある。類型的に整理すると、以下のようになる。

  1. 自社サイト:そのニュースメディア自身が管理するサイト Ex. newstsukuba.jp
  2. 記事配信プラットフォーム:記事そのものを配信するサイト。自社サイト(1)に送客されない。Ex. Yahooニュース/Nordot
  3. 記事紹介プラットフォーム:記事を紹介するサイト。自社サイト(1)に送客される。 Ex. Googleニュース/NEWS Picks

収益:自社サイト(1)

 自社サイトに対するバナー掲載(純広告)などによる収益が見込める。
 NEWSつくばにおいても、主たる収益源は自社サイトへの純広告によるもの。

収益:記事配信プラットフォーム(2)

 記事や記事に掲載する画像そのものを、記事配信プラットフォームに渡す形を取る。
 そのため、その記事配信プラットフォーム内でいくら見られたとしても、自社サイト(1)による収益には貢献しない(注:ただし、メディアの認知度を挙げる副次的効果はある)。
 その記事配信プラットフォームが得た売上のうち、一部分が記事配信元に支払われる仕組み。

収益:記事紹介プラットフォーム(3)

 記事や記事画像を渡すのではなく、あくまで自社サイトへの送客が行われる。
 ここで優先度高く紹介してもらえると、自社サイト(1)に送客が行われアクセス数が増えるためよい。

 小括

ハイパーローカルメディアのコストを誰が支払っているのか?⇨ミクロ(部分的)な分析としての「プラットフォーム」との関係。

・いまのところ「記事配信プラットフォーム(2)」は、コストをペイしない?
・記事紹介プラットフォーム(というよりもGoogle)とは「共栄・共存」関係?

備考

2022年度活動計算書(公開)によると収益は以下の通り。

[経常収益の部]
|勘定科目 |額(単位:円)|
〇特定非営利活動
|受取会費 |2,243,000  |
|受取寄付金|7,000    |
|ニュース配信事業収益|220,338|
|受取利息 |55      |
〇その他の事業
|雑収益  |5,986,691  |

合計:8,456,084

〇NEWSつくばの事業報告書
https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/detail/008000981

投稿日:2024/11/09

修正日:2023/11/09